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「嫡出推定」ルール見直し 矛盾解消へ長すぎた15年=工藤哲(秋田支局)

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当時の鳩山邦夫法相(右端)に要望書を渡し、民法772条の見直しを求める「無戸籍児家族の会」メンバーら=2008年5月20日、塩入正夫撮影
当時の鳩山邦夫法相(右端)に要望書を渡し、民法772条の見直しを求める「無戸籍児家族の会」メンバーら=2008年5月20日、塩入正夫撮影

 「離婚後300日以内に生まれた子は前夫の子と推定する民法772条」。この文言を、一体何度書いただろう。法制審議会は2月、多くの無戸籍者を生み出しているこの「嫡出推定」ルールを見直す改正要綱案を了承した。政府は国会に法案を提出する見通しで、成立すれば、再婚後に生まれた子は再婚相手の子と推定される。

 私たちがこの問題を最初に報じたのは15年前。行政や立法関係者さえ規定の矛盾や不条理を分かっていたのに、こんなにも長い時間がかかってしまった。見直しのニュースを目にして感じたのは、「ようやく」という重苦しさと、「変えられない日本」の現実の厳しさだ。

 「戸籍がない子の相談を受けている」。こんな話を上司が関係者から耳にし、取材を始めたのは社会部にいた2006年12月のことだった。埼玉県の女性は、夫とは別の男性と出会い、妊娠。離婚が成立してから226日後に出産した。そのまま出生届を出せば「前夫の子」になってしまう。実の父親の名前を書いた出生届は自治体に受理してもらえず、困り果てていた。

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