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ロシアによるウクライナへの軍事侵攻から1年。長期化する戦闘、大きく変化した国際社会の行方は……。

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ロシア産に「血のにおい」? 伊藤忠、シベリア事業ひっそり「撤回」

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岸田文雄首相(左端)を囲んで談笑するショルツ独首相(右から2人目)、バイデン米大統領(左から2人目)ら。ロシアによるウクライナ侵攻から1カ月となる24日、西側諸国の指導者はベルギーの首都ブリュッセルに結集。北大西洋条約機構(NATO)や主要7カ国(G7)の首脳会議(サミット)を開くなどして対応を協議した=AP
岸田文雄首相(左端)を囲んで談笑するショルツ独首相(右から2人目)、バイデン米大統領(左から2人目)ら。ロシアによるウクライナ侵攻から1カ月となる24日、西側諸国の指導者はベルギーの首都ブリュッセルに結集。北大西洋条約機構(NATO)や主要7カ国(G7)の首脳会議(サミット)を開くなどして対応を協議した=AP

 平和を見据えた経済協力は崩れ去ってしまうのか。伊藤忠商事がロシア石油最大手「ロスネフチ」と西シベリアで石油開発プロジェクトを進めようとし、ロシアのウクライナ侵攻を受けて事実上、白紙撤回した。国際的な理解が得られないとの判断だ。欧米企業もロシアから相次いで撤退表明している。しかし、日本は石油元売り大手が中東産などへの代替調達に動くものの、主要な権益事業については継続する方針。結果として戦下のロシア財政を支えている。プーチン大統領の「暴挙」を食い止める強い制裁が求められる中、資源小国ニッポンが揺れている。

プーチン氏「最側近」の企業と

 伊藤忠のプロジェクト「断念」は複数の関係者が匿名を条件に毎日新聞に明らかにした。既に同社とロスネフチが首脳レベルで情報を共有する段階まで進展し、本格始動に向けた調整が続いていた。しかし、ロシアによるウクライナ侵攻を受け、契約に向けた動きを凍結。伊藤忠幹部は「このまま参画自体がなくなることになるだろう」と話した。

 輸出額全体に占める石油・天然ガスなどの割合が5割近いロシアにとって、ロスネフチは主要な「稼ぎ頭」だ。イーゴリ・セチン最高経営責任者(CEO)はプーチン氏がサンクトペテルブルク副市長だった時代から支え、大統領府副長官も務めるなど、最側近で知られる。

 伊藤忠広報部は取材に「ロシアにおける資源事業に関してはエネルギー安定供給の観点も踏まえ、日本政府やパートナーを含む関係者とともに密に協議を続け、適切に対応していく」と回答。ロスネフチとの事業を白紙撤回したかどうかは回答を避けたが、ある関係者は「…

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【ウクライナ侵攻】

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