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オンラインでの国会審議の導入へ向けた議論が本格化している。
新型コロナウイルス禍でリモートワークが普及し、ウェブ会議が広く活用されるようになった。時代の変化に応じて、国会も検討を進めるべきではないか。
憲法56条は本会議について、国会議員の3分の1以上の「出席」を要件と定めている。衆参両院の規則では、本人が議場にいることが採決参加の条件になっている。
国民の代表である議員が全国から一堂に集い、対面で意見を戦わせるのが国会の本来の姿である。
ただ、近年は議場に集まらなくても、審議に参加することが技術的に可能となっている。
衆院の憲法審査会が先月、オンラインでも例外的に「出席」とみなせるとの見解を示した。議論に参加して表決に加わることが、議員の「機能」であるという解釈だ。この場合、憲法の改正は必要なく、規則などの変更で済む。
衆院議院運営委員会で始まった議論の焦点は、どのような場合にオンライン出席を認めるかだ。
報告書は「いわゆる緊急事態が発生した場合等」と記すにとどまっている。具体的な議論は今後の検討課題だ。
自民党には、改憲項目に掲げる「緊急事態条項」の議論につなげたいとの思惑もある。だが、改憲とは切り離し、実務的に進めるべき問題だ。
公明党や立憲民主党は妊娠や出産、病気、障害などの場合も認めるよう主張している。さまざまな事情で外出が難しい議員が参加できれば、多様な意見を審議に反映しやすくなる。
導入にあたってはセキュリティー対策も重要だ。なりすましやハッキングなどを防ぐシステムの整備も求められる。
英国やカナダなどでは、コロナ禍をきっかけに審議や投票のリモート参加を認めるようになった。
日本の国会でも、ウクライナのゼレンスキー大統領の演説がオンラインで行われ、トラブルはなかった。委員会の審議に活用する地方議会も増えている。
オンラインの活用が進めば、場所を問わずに議論に参加でき、国会審議の活発化にもつながるはずだ。柔軟に対応できる仕組みを整えるべきだ。