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田崎直美さん 『抵抗と適応のポリトナリテ』

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 ◆田崎直美(たざき・なおみ)さん

 (アルテスパブリッシング・3080円)

占領下、音楽に何が出来るか

 第二次世界大戦でナチス・ドイツに侵攻されたフランスの音楽活動に光を当てた。執筆を通して、「占領下のフランスが、国のアイデンティティーを音楽によって確立しようとした姿が浮かび上がってきました」と話す。

 ドビュッシーやラヴェルら、国際的評価を確立していた過去の作曲家だけでなく、オネゲルやメシアンといった当時存命だったフランスの作曲家の作品がたびたび演奏されたり、若手音楽家の失業対策の一環として積極的に新作が委嘱されたりした。「占領されてはいるものの、音楽ではフランスはドイツに負けていないぞと見せつけ、自分たちのプレゼンスを高めようとしていました」と語る。

 専門は音楽学。近代フランスの音楽史や音楽社会学、文化政策史の研究に取り組む。現在、京都女子大准教授として教べんを執るが、本書で扱うテーマに興味を持ったのは大学生時代。洗練されたピアノ曲や歌曲の数々が日本でも人気のフランス人作曲家、プーランク(1899~1963年)について調べていた時のことだった。「彼は筆まめだったのに、40~44年ごろの手紙などが極端に少なく、違和感を覚えました。恐らく、戦争と…

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