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人間の安全保障への脅威 非民主体制の権力乱用=高原明生・東京大法学部教授

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=手塚耕一郎撮影
=手塚耕一郎撮影

 人は誰でも安全で安心な日々を過ごしたいし、過ごす権利がある。一人一人の人間が恐怖と欠乏から自由であり、尊厳をもって暮らすことができる――。それが「人間の安全保障」という概念だ。民族紛争や治安の悪化、そして感染症の流行によっても人間の安全保障は脅威にさらされる。

 国家の安全保障の喪失により、人々の安全、安心や尊厳が奪われることもある。ロシアのウクライナ侵攻がもたらした殺りく、破壊、飢えや寒さ、そして家族の別離によってウクライナ人の人間の安全保障は失われた。

 ロシアのプーチン大統領は侵攻を正当化するため、北大西洋条約機構(NATO)の拡大によるロシアの安全保障への脅威増大や、ウクライナのロシア系住民保護の必要性を訴える。だが自国の安全や邦人保護を口実に他国を侵略した例は、20世紀前半の日本を含め枚挙にいとまがない。

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