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時武里帆『護衛艦あおぎり艦長 早乙女碧』『試練 護衛艦あおぎり艦長 早乙女碧』(新潮文庫)が、2カ月連続で刊行された。独立したストーリーだが、上下巻的な趣もあるので異例だが2冊同時に紹介しよう。
44歳バツイチの早乙女碧二佐は5年ぶりに2度目の艦長を命じられ、呉に赴任する。1作目は碧が新艦長としてあおぎりに着任し、部下たちと顔をあわせ、艦内を巡視する様子がたっぷりと描かれる。海上自衛隊の組織、護衛艦の構造と装備、乗組員の職掌などが、碧の気負いや不安の念と寄り添うように、説明に堕すことなく手際よく伝えられるのだ。そしていよいよ慣熟訓練のための出航直前に、未帰艦者が1名いることが判明する。
その1週間後。体験航海中のあおぎりに遭難信号が入る。自衛隊の練習機が洋上に墜落したのだ。碧は艦載ヘリを救助に向かわせるが、その直後に乗客から重篤な急病人が発生する。
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