麹菌が世界を救う? たんぱく質危機に「菌肉」参上

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「菌肉」のもとが入った三角フラスコを手にする萩原大祐・筑波大准教授=茨城県つくば市の筑波大で2022年2月4日、荒木涼子撮影
「菌肉」のもとが入った三角フラスコを手にする萩原大祐・筑波大准教授=茨城県つくば市の筑波大で2022年2月4日、荒木涼子撮影

 日本酒やみそ、しょうゆ造りなどに欠かせない麹(こうじ)菌を培養して、牛肉などに代わる「肉」を作る研究が筑波大で始まった。名付けて「菌肉(きんにく)プロジェクト」。世界的な人口爆発による「たんぱく質危機」などが懸念される中、「菌肉」増強で世界を救うことができるか。【荒木涼子】

キノコを作らないので使える

 同大の研究室を訪れると、三角フラスコの培養液の中で「菌肉」のもととなる無数の菌糸の塊がふわふわと漂っていた。数ミリから大きいもので1センチ弱くらいで、揚げ玉のようにも見える。1週間前は目に見えるか見えないかというほどの菌の胞子だったが、餌として米ぬかや砂糖を与えて培養し、菌糸を生やしたという。

 「この培養液から菌糸をこし集め、乾燥させます」。研究チーム代表の萩原大祐(だいすけ)准教授(微生物学)がかくはん機から出したフラスコを手に持ち、説明してくれた。「餌の量を工夫したことでだいぶ収量が増えてきました」。このときの実験では、1マイクログラムにも満たない約500万個の胞子から、水分も含んだ状態で約27グラムの菌肉のもとが取れた。

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