「私たち」で思いつなぐ ひめゆり平和祈念資料館学芸員・前泊克美さん
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沖縄県糸満市の「ひめゆり平和祈念資料館」が、「戦争からさらに遠くなった世代」に向けて展示をリニューアルして4月で1年になる。ひめゆり学徒隊と沖縄戦の記憶をどのように語り継ぐか。1989年の開館から一貫して、生き残った元学徒が証言員となって亡き友への鎮魂を胸に「戦争は人災」と説き、少女たちを戦場に向かわせた教育の恐ろしさ、平和の尊さを訴え続けてきた。その凜(りん)とした姿勢は、学芸員の前泊克美さん(44)ら戦争を体験していない職員たちにつながる。代を継いでひめゆりを支える人々の声にいま、耳を澄ます。【客員編集委員(沖縄在住)・藤原健】
問われたのは覚悟
「腰掛けの気分ではないですよね」
2001年3月、前泊さんは那覇市内のひめゆり同窓会館で、資料館の採用面接に臨んだ。にこやかな笑顔で迎えてくれたのは、元ひめゆり学徒の本村つるさん(96)ら4人。同じ元ひめゆり学徒の宮良ルリさん(21年、94歳で死去)について琉球大学の卒業論文にまとめていただけに、沖縄戦や資料館の概要は知っていた。だが、問われたのは知識ではない。やさしく、しかし、覚悟を求める厳しい言葉だった。
資料館は戦後44年、日本復帰17年後の「慰霊の日」(6月23日)に開館した。国や県、市などの公的資金に頼らない。沖縄師範学校女子部(女師)と沖縄県立第一高等女学校(一高女)両校の同窓会を母体とする公益財団法人「ひめゆり平和祈念財団」が運営する。生き残った元ひめゆり学徒が証言員となり、戦争の惨禍を体験した学徒の視点で沖縄戦の実相を語り、平和への願いを訴える役割を担って出発した。
ひめゆり学徒隊は女子の中では唯一教師が引率し、動員数、戦没数とも最多で、映画、演劇、小説、詩歌などで繰り返…
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