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中村文則の書斎のつぶやき

芥川賞作家・中村文則さんが、いろいろな場所の「書斎」から、さまざまなことをつぶやきます。

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二元論が繰り返す悲劇

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平和祈念像=長崎市で2019年に筆者撮影
平和祈念像=長崎市で2019年に筆者撮影

 人間の脳は、善悪の二元論になりやすい。

 でも戦争で、双方に何らかの形で大国が関わる場合、片方の大国が100%悪で、片方の大国が100%正義だった状況などないことは、残念だけど歴史が証明している。二元論は気持ちいいが、それだと分析がされず、また悲劇が繰り返されてしまう。

 ロシアがウクライナに侵攻したが、最も間違っているのはそう決めたロシアの大統領であり、その政府だと僕は思う。では西側諸国はどうか。

 EU(欧州連合)は今も、ロシアから各資源を輸入している。天然ガスを運ぶ新パイプラインは一旦止めたが、他のパイプラインは稼働中である。各エネルギー資源の購入で、1日に1000億円以上のお金がEUからロシアに渡っているとされる。現在は多少減っただろうが、今も流れるお金は莫大(ばくだい)だ。EU諸国はウクライナに軍事援助をしながら、ロシアに巨額のお金を渡している。こういうのを偽善という(自由と民主主義…

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