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文通費の与野党協議 姑息な改悪は許されない

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 これでは改悪ではないか。姑息(こそく)なつじつま合わせは許されない。

 国会議員に在職1日でも月額100万円が支給される文書通信交通滞在費(文通費)の見直し案である。

 与野党6党は日割りでの支給ができるよう法改正することで合意した。今月の参院石川選挙区補欠選挙の当選者から適用するためだという。

 一方、使途の公開と未使用分の国庫返納については先送りした。今国会中の改正を目指すというが、消極的な議員も多い。

 とりわけ問題なのは、名称を「調査研究広報滞在費」に変えて、野放図な現状を正当化しようとしていることだ。

 文通費は領収書が不要なため使い道がチェックできない。飲食費や私設秘書の給与などに流用されるケースが指摘されている。政治・選挙活動の経費は本来、政党助成金で賄うのが筋だ。

 「公の書類を発送」「公の性質を有する通信」などと規定されている現行法の目的から、実態は大きくかけ離れている。

 改正案では「調査研究」「広報」「国民との交流」「滞在」などに対象を広げる。事実上の使途拡大である。「何に使っても構わない」とお墨付きを与えることになりかねない。

 自民党だけでなく、「身を切る改革」を主張している日本維新の会を含め、共産党を除く野党も同意した。

 文通費のルーツは、終戦直後の「通信費」と「特別日当」にさかのぼる。公務に関する書類の郵送費や、議員宿舎がない時代の経費として支給された。

 その後、議員の都合に合わせて使途と金額が拡大されてきた。議員宿舎ができたにもかかわらず、1993年から月額25万円の「滞在費」が上乗せされている。

 与野党は「文通費の歴史的経緯を踏まえた」と見直しを正当化している。だが、その「歴史」は、長年にわたるお手盛りの積み重ねにほかならない。

 税金の使い道を適正かつ透明なものに見直すのは当然だ。

 「政治とカネ」を巡る問題が相次ぐ中、自らの足元の問題すら正せないようでは、国民の不信は深まるばかりだ。

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