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奇跡の傍らで

出産のリアルを描いた人気漫画「コウノドリ」のモデル、荻田和秀医師が命が誕生する現場からの思いをつづります。

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HPVワクチンの勧奨再開 機会逃した世代救う制度も=荻田和秀・りんくう総合医療センター産科医

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約9年間の接種勧奨差し止めの間も無料で受けられる定期接種ではあったが、自治体からの広報もなく接種の機会を逃した人は多かった マンガ「コウノドリ」Ⓒ鈴ノ木ユウ/講談社
約9年間の接種勧奨差し止めの間も無料で受けられる定期接種ではあったが、自治体からの広報もなく接種の機会を逃した人は多かった マンガ「コウノドリ」Ⓒ鈴ノ木ユウ/講談社

 春たけなわです。新型コロナウイルスの第7波が気になりますが、子宮頸(けい)がんとその予防のためのHPVワクチンについては大きな前進がありました。厚生労働省が積極勧奨を4月から再開したのです。2013年4月、小学校6年~高校1年の女子が無料で受けられる定期接種になったHPVワクチンですが、副反応かもしれない症状が表れたため、同年6月から接種の勧めが中止されていました。しかし安全性と有効性を示す多くのデータが集まり、約9年ぶりに「接種を受けてください」になったのです。

 13年当時、安全性と同時に有効性を疑問視する意見も出されました。実用化から年数が浅かったため、「実際に子宮頸がんが減るかどうか、長期間の効果が不明」と指摘されたのです。しかしこの間に諸外国で報告されたデータを見ると、12~13歳で接種した群で子宮頸がんの発生率は87%低下しています。がんになる前の前がん状態を含めると97%の低下です。副反応とされた症状についても研究がなされました。欧米の大規模調…

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