方位磁石の「北」、正確な北じゃない? 二条城の位置にも傾き
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方位磁石が常に北を向くのは、地球の磁場(地磁気)に引っ張られるからだ。だが、磁石の指す北(磁北(じほく))が、必ずしも北極点のある本当の北(真北(しんぽく))とは限らない。地磁気は変化し続けていて、歴史をさかのぼると、そのN極とS極は何度も逆転しているのだ。【垂水友里香/科学環境部】
地理院、5年おきにずれ公表
真北と磁北のずれを「偏角値」と呼ぶ。登山などで正確な方角を知るのに必要になるほか、スマートフォンやカーナビ、航空管制などにも欠かせない。
国土地理院(茨城県つくば市)は2月、全国の地磁気の状況を地図上に表した「磁気図」を5年ぶりに更新し、2020年元日現在(20年値)の全国の偏角値を示した。
それによると、東京では西へ7・6度ずれ、5年前と比べて0・3度、50年前と比べて1・3度、ずれが大きくなった。国内をみると、日本最東端の南鳥島はほぼゼロだが、その他の地域はすべて西へずれている。国内で最もずれが大きかったのは北海道・宗谷地方の中頓別(なかとんべつ)町で、西向きに約11・2度だった。
地理院は、過去に測定した全国約1000点の地磁気のデータをベースにモデルを作り、定期観測している全国12点のデータを入力して全国の偏角値を出している。定期観測では、測定機器を設置したり、職員が専用の機器で測量したりしている。モデルを使えば、将来の値を予測したり、過去の値を推定したりすることもできる。
地理院は、それまで10年間だった磁気図の更新期間を、10年値から5年間にした。20年4月からは、予測値を調べられるサイトを公開している。毎年1回更新され、2年先の予測ができる。地理院は「磁北と真北のずれは普段の生活であまり意識することはないかもしれないが、世の中のニーズがより詳細なデータを求めるようになってきている」と話す。
「東へ3度」二条城にも痕跡?
地磁気とはどんなものなのか。…
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