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赤木雅子さんの訴え 「森友」は終わっていない

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 学校法人森友学園への国有地売却を巡る財務省の文書改ざん問題は、終わっていない。過去の出来事だとして忘れることがあってはならない。

 上司に改ざんを強いられて自殺した近畿財務局職員、赤木俊夫さんの妻雅子さんが、日本記者クラブで記者会見した。

 指示に逆らえなかった状況について「戦争と同じ。上が『白』と言えば黒いものでも白。すごい圧力を感じていた」と振り返った。

 国の対応を「どういうふうにそれが行われたか明らかにしないのは、間違っている」と批判し、「真実を知りたい」と繰り返した。

 そうした思いから、雅子さんは損害賠償請求訴訟を起こしたが、国は説明に後ろ向きな姿勢に終始した。赤木さんが経緯を書き残した「赤木ファイル」の提出も当初は渋り、請求を丸のみする「認諾」という手段で終わらせた。

 岸田文雄首相は認諾後、国会で今後の対応について「丁寧に対応する」「真摯(しんし)に説明を尽くしていく」と答えた。しかし、それから4カ月たっても一向にそうした動きは見えない。

 そもそも、なぜ国有地が破格の安値で売却されたのか。当時の安倍晋三首相夫妻の言動がこの問題にどんな影響を及ぼしたのか。疑問は残ったままだ。

 雅子さんは、財務省が地検に提出した文書の公開を求める訴訟も起こしている。だが国は文書が存在するかの「存否」すら「捜査への影響」を盾に明らかにしていない。捜査は終わっており、説得力に欠ける。

 そうした状況にもかかわらず、国会も役割を果たそうとしていない。時がたつにつれ「森友」を追及する声も少なくなった。

 雅子さんは関係した政治家や夫の元上司らの墓参を求めている。だが、3月に迎えた4回目の命日にも、国から連絡はなかった。

 真相究明が進まない現状に雅子さんは「国の壁は厚く、高い」と語る。「いつまでやっているんだ」などのネット上の書き込みにも胸を痛めているという。

 森友問題は日本の民主政治の現状に大きな疑問を投げかけた。政治への信頼を取り戻したいなら、首相は自らの言葉を実行に移す必要がある。

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