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数カ月おきの接種続ける? 岐路に立つコロナワクチン

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新型コロナウイルスワクチンの4回目接種について話す忽那賢志大阪大教授=スクリーンショットから
新型コロナウイルスワクチンの4回目接種について話す忽那賢志大阪大教授=スクリーンショットから

 新型コロナウイルスのワクチン4回目接種について国内で議論が始まった。今後その必要性や3回目からの接種間隔、対象者についての検討が政府内で本格化する。ただ、4回目の感染予防効果は3回目に対して著しく高くなることはないとみられ、感染症専門医の忽那賢志大阪大教授(感染制御学)は「感染者数を抑制するためというより、重症化する人を減らすためのワクチンへと考え方を変える必要がある」と言う。岐路にある4回目接種のあり方について聞いた。【聞き手・金秀蓮】

4回目接種の有効性は

 ――一部の国ではすでに新型コロナウイルスワクチンの4回目接種が実施されています。現在わかっている有効性について教えてください。

 ◆イスラエルのデータが公表されています。

 一つ目は米ファイザー社製のワクチンを使った、60歳以上の高齢者のデータで、3回目から4カ月以上あけて4回目を打った人と3回目まで打った人を比べています。報告によると、4回接種を受けた人では感染した人が約半分、重症化した人はおよそ4分の1になりました。高齢者に対する重症化予防効果はワクチン接種から時間がたつと落ちてくるため、高齢者に対しては追加接種が必要になるのではないかと考えられます。

 二つ目は医療従事者に米ファイザー社製または米モデルナ社製のワクチンを接種した結果です。(感染から防御する)中和抗体がどれぐらい上昇するか、感染者をどれだけ抑えられるかを比較したものです。流行当初に中国の武漢で見つかった従来株に対する免疫とおおむね相関するスパイク抗体は3回目直後と4回目直後でほとんど値が変わりませんでした。

 このことから、ワクチンで得られる中和抗体は3回目直後がピークで、4回目は時間が経過し低下した値を、3回目直後と同程度に再び上げる効果はありますが、それより高くはならなそうだということが示されました。また、オミクロン株に対する中和抗体は4回目を打ったからといってたくさんできるわけではなく、武漢で確認された株に対する抗体の10分の1程度でした。

 さらに感染を防ぐ効果は、3回目と比べるとファイザー社製が30%、モデルナが11%でした(※)。研究の参加人数が多くないため過小評価している可能性はありますが、オミクロン株に対する感染予防効果は3回目に比べて4回目に著しく高くなるということはないだろうということです。

 厳しい状況にあります。4回目接種の効果は思ったより高くなく、一方で接種から時間がたつと中和抗体の量が下がることがわかっています。これから追加接種をどう進めていくのか岐路に立たされているのだと思います。

 (※)感染を防ぐ効果は、ワクチンを接種した集団の中の感染者と、接種していない集団の中の感染者を比べ、ワクチンを接種した集団で感染者数が抑えられていた割合。接種していない集団の感染者が100人で、接種した集団の感染者が70人の場合、効果は30%となる。

副反応は3回目と同じ頻度

 ――副反応など安全性の面ではどのようなことがわかっていますか。

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