「こりゃ問題作」 美術家・森村泰昌さんが示す「名付け得ぬ世界」

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カーテン壁が張り巡らされた会場に並ぶ美術家、森村泰昌さん秘蔵のインスタント写真=京都市左京区の京都市京セラ美術館で2022年3月11日、清水有香撮影
カーテン壁が張り巡らされた会場に並ぶ美術家、森村泰昌さん秘蔵のインスタント写真=京都市左京区の京都市京セラ美術館で2022年3月11日、清水有香撮影

 企画のはじまりは、美術家が発表のあてもなく長年撮りためていた大量のインスタント写真だった。京都市京セラ美術館(京都市左京区)で開催中の個展「森村泰昌:ワタシの迷宮劇場」。名画や歴史上の人物に扮(ふん)した写真作品で知られる森村泰昌さんは、インスタント写真による一連のセルフポートレートを表現の「土壌」と呼ぶ。会場に並ぶ約800枚は具体的なタイトルを持たず、年代による分類もない。そんな「名付け得ぬ」豊かな土壌にこそ芸術は芽吹くと森村さんは考える。

 「こりゃ問題作だな」。準備が整ったばかりの個展を見て、本人はそう感じたそうだ。つまりは「賛否両論あるということ。普通の展覧会とはちょっと違う世界ができたのではないかと思っています」

 なんせ入り口は五つ。…

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