- ポスト
- みんなのポストを見る
- シェア
- ブックマーク
- 保存
- メール
- リンク
- 印刷
◆山口蓬春(ほうしゅん)
ああ、この絵だったのか。東京国立近代美術館の所蔵作品展で、足が止まった。
1941年12月8日真珠湾攻撃の日に、日本軍は英国領香港の攻略戦を開始した。同25日のクリスマス、英国軍との戦闘の末に香港占領を果たす。日本画家、山口蓬春(1893~1971年)は翌年陸軍省の派遣で香港を訪れ、スケッチを元に激戦の日を描いた。
香港島にあるビクトリアピークや上空を旋回する日本軍機、海上の英国艦船がシルエットで表される一方、西洋式の建物群は緻密に描かれ、あくまでも壮麗だ。爆撃を受け、炎が金色にきらめく。絵巻物の合戦場面のように、生々しさからはほど遠く、風雅でただ美しい。
この記事は有料記事です。
残り599文字(全文894文字)