イラン、米と強気の核協議 市民悩ます制裁とコロナ禍の二重苦

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イランのライシ大統領が子供時代を過ごした地区で父親と食料品店を営むジャファーさん。「ライシ師を誇りに思う」と語った=イラン北東部マシャドで2022年2月7日、真野森作撮影
イランのライシ大統領が子供時代を過ごした地区で父親と食料品店を営むジャファーさん。「ライシ師を誇りに思う」と語った=イラン北東部マシャドで2022年2月7日、真野森作撮影

 イラン核合意の正常化に向けた米国とイランの間接協議は足踏み状態が続いている。2015年に結ばれた核合意の当事国であるロシアのウクライナ侵攻も影響し、交渉が妥結するかは予断を許さない。今年2月に取材したイラン各地では、米国の経済制裁による苦境を訴える声と強気な姿勢とが交錯していた。【テヘランなどで真野森作】

 「ライシ師は素晴らしい大統領でみんなが誇りに思っている。制裁が解除されようがされまいが、我々は困難に慣れている。経済も以前より強くなった」

 イラン北東部マシャドのノガン地区で父親と小さな食料品店を営む男性ジャファーさん(60)はこう力説した。1979年のイラン革命やその後のイラン・イラク戦争に民兵として参加した経験を持つ。筋金入りの体制支持派だ。

 同地区は閑静な住宅街で、昨年8月に政権を発足させたエブラヒム・ライシ大統領(61)が子供時代を過ごした場所だ。ジャファーさんの店の近くにはライシ師が通った学校がある。

 マシャドは、イランの国教・イスラム教シーア派で崇敬される9世紀初頭の指導者イマーム・レザーの廟(びょう)(墓所)があり、宗教都市として知られる。最高指導者ハメネイ師(83)もこの町に生まれた。

 イスラム法学者(聖職者)出身のライシ師は16~19年、ハメネイ師の指名によって廟を管理する宗教財団のトップを務めた。財団は国内屈指の経済力を持つ有力組織だ。また、ライシ師の妻の父親はマシャドの宗教指導者で、他都市より宗教的に厳格な気風を主導する。

 黄金ドームの廟を参拝していたイスラム法学者のモハメド・ガワドさん(31)=中部コム在住=は「ライシ師には良き目的とプランがある。イランは自国の力でやっていける」と語った。

 ただ、ライシ師ゆかりの地でも異論を語る人は…

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