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最大600人以上が4カ月間人質に取られた南米ペルーの日本大使公邸占拠事件の解決から22日で25年になる。事件の背景にあった貧困や格差の問題はその後も解消されず、ペルー社会は今、新たな混乱の渦中にある。
「鶏のむね肉やもも肉も、調理用ガスも買えない」
首都リマのスラム街の一つ、ビジャ・マリア・デル・トリウンフォ地区。住民有志でつくる炊き出し団体の代表、レオナルダ・アラニアさん(47)は毎日新聞の電話取材にため息をついた。以前はコメやマメの煮込みなどを毎日用意できたが、現在はより安く作れる鶏の皮や骨、野菜が入ったスープのみの日が週3日に増えた。「物価が上がり、栄養のある食事を作れなくなっている」
ペルーは食料品や燃料の国際価格の上昇などによるインフレに悩まされている。ロシアによるウクライナ侵攻の影響でさらに物価が高騰。国家統計情報局によると、リマ首都圏の3月のインフレ率は前年同月比6・82%と、中央銀行の目標上限である3%を10カ月連続で超えた。インフレは特に、労働者の約75%を占める非正規雇用の庶民を直撃している。
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