「弱さ」にも居場所を 安田菜津紀さん×ユーチューバー僧侶/後編
- ツイート
- みんなのツイートを見る
- シェア
- ブックマーク
- 保存
- メール
- リンク
- 印刷

チャンネル登録者数約4万7000人(2022年4月現在)のユーチューバー僧侶、小池陽人さん(35)を案内役に、情報発信の現在地を探る新企画第1回の後編。フォトジャーナリストで認定NPO法人「Dialogue for People(ダイアローグ・フォー・ピープル、D4P)」副代表理事の安田菜津紀さん(35)とのオンライン対談では、メディアにあふれがちな言葉や、「役に立つ」ことだけを基準に価値を考える社会の危うさが話題に上った。【構成・花澤茂人】
「空気」の恐ろしさ
小池 安田さんは3月2日のD4Pのユーチューブ配信で、21年3月に名古屋入管(名古屋出入国在留管理局)で亡くなったスリランカ出身の女性、ウィシュマ・サンダマリさんのことを話しておられました。入管の職員さんたちは、ウィシュマさんがもう口から食べ物を摂取できない状況なのに、それでも口に入れようとした、と。人間は時として、普通ならできないような残酷なことをしてしまうのはなぜか。取材を重ねる中でどう想像しますか。
安田 入管という組織を長いスパンで考えると、戦前や戦時中に出入国管理も担っていた特高警察の警察官たちが戦後に少なからず合流したと言われています。外国人を人権の主体として目線を送るより、管理、監視して国を守ることが良き職員だとどうしてもなってしまう。それはすごく暴力的で、管理、監視される側だけでなく働く人にも非人間的であることを求めるわけです。真意は分かりませんが、ウィシュマさんが亡くなった直後に入管を訪れた支援者さんが、肩を抱き合って泣いている職員さんを目にしたそうです。もしかして心ある職員さんたちは…
この記事は有料記事です。
残り3706文字(全文4398文字)