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韓国代表団の来日 関係修復が互いの利益だ

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 韓国次期政権の代表団が来日する。対北朝鮮政策での協力や、日韓関係の懸案解決へ向けた地ならしをすることが目的だ。

 来月、大統領に就任する尹錫悦(ユン・ソンニョル)氏は、岸田文雄首相との間で関係改善の必要性を確認している。文在寅(ムン・ジェイン)政権下で冷え切っていた日韓関係の修復につながることを期待したい。

 尹氏が米国に次いで日本に代表団を派遣するのは、日米との関係を重視する姿勢を示すものだ。両国への留学経験を持つ重鎮議員の朴振(パク・チン)氏を外相に起用したのも、そうした考えの表れだろう。

 慰安婦問題や徴用工問題に端を発した日韓の対立は、経済や安全保障分野での協力に悪影響を及ぼすまでになった。政府間のパイプは目詰まりし、事態打開へ向けた対話すら滞った。

 だが、日本と韓国の協力は互いに利益をもたらすものだ。

 まず北朝鮮問題である。核・ミサイル開発の加速は共通の脅威であり、日米韓が連携して対処するのが基本だ。日韓がぎくしゃくしていては、連携が機能しない。

 経済安保でも協力は欠かせない。韓国は半導体や蓄電池など戦略物資の世界的な生産拠点であり、素材を供給する日本とは相互依存の関係にある。

 北東アジア地域の平和と安定を図る上でも、両国関係がますます重要になっている。ロシアによるウクライナ侵攻で国際秩序が動揺する中、いがみ合いを続ける余裕はない。

 米国と中露両国の対立激化で、国連安保理は機能不全に陥っている。こうした状況では、日米韓のような地域的な枠組みの役割が大きくなる。

 尹氏は、日米豪印4カ国(クアッド)との協力にも前向きな姿勢を見せている。民主主義国のネットワークが強化されれば、地域の安定に寄与する可能性がある。

 ただ次期政権の与党は国会で4割弱の議席しか持っておらず、尹氏は困難なかじ取りを迫られる。特に世論を刺激しやすい対日政策での大胆な方針転換は容易ではないだろう。

 「国交正常化以降で最悪」と言われる状況を一朝一夕に変えるのは難しい。日韓が互いに歩み寄る地道な努力が求められる。

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