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ウクライナ侵攻 分断深まるG20 苦境の途上国救う努力を

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 これでは国際社会の分断が深まり、世界経済が一段と悪化しかねない。

 日米露など主要20カ国・地域(G20)が財務相らによる会議を開いた。本来は経済の課題を議論する場だが、ロシアのウクライナ侵攻を巡る対立が際立った。

 ロシアの財務相がオンラインで発言した場面では、米英カナダが抗議の意思を示すため退席した。ロシアが「経済協議の場を政治の道具にするのは避けるべきだ」と反発し、中国も同調した。亀裂が鮮明となり、共同声明もまとめられなかった。

 国際秩序を踏みにじったロシアの責任は重い。だがG20が機能不全に陥ったままでは、主要国の責任は果たせない。

 世界経済は厳しさを増している。新型コロナウイルス禍からの回復途上、ウクライナ侵攻に伴い、エネルギーや食料の価格高騰に拍車が掛かった。国際通貨基金(IMF)は、今年の世界の成長率見通しを大幅に引き下げた。

 とりわけ危ぶまれるのは、物価高や食料不足の打撃を受けやすい途上国に影響が広がることだ。

 国連のグテレス事務総長は、世界で17億人が貧困や飢餓に苦しむ恐れがあると指摘している。

 多額の借金も重荷だ。コロナ禍で観光客が激減したスリランカは借金を返せない「デフォルト」の危機に直面している。世界銀行は12カ国前後が1年以内にデフォルトに陥りかねないと警告する。

 米国は利上げを進める考えだが、途上国の苦境に追い打ちをかける可能性がある。ドルの金利が上昇すると、ドル建て借金の返済負担が重くなるからだ。

 途上国経済が行き詰まれば、国際的な影響も大きい。率先して危機を防ぐのが主要国の役割だ。

 G20は政治体制の異なる国が集まる。民主主義や人権重視といった価値観を共有しないため、足並みをそろえるのは容易ではない。

 だがグローバルな課題を先進国と新興国が協議する枠組みは重要だ。リーマン・ショック時は米中が連携して危機を乗り切った。

 途上国の借金削減に向け、最大の貸手とされる中国も含めた話し合いを進める必要がある。日米欧が主導して、エネルギーや食料の支援にも取り組むべきだ。

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