農林漁業と人材をマッチング 秋田県が取り組む「半農半X」とは

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ネギの皮むき体験をする「半農半X」体験モニターの参加者ら=2021年12月、秋田県八峰町観光協会提供 拡大
ネギの皮むき体験をする「半農半X」体験モニターの参加者ら=2021年12月、秋田県八峰町観光協会提供

 人手不足に悩む農林漁業と副収入や経験を求める人をマッチングする取り組みが秋田県で始まっている。その名も「半農半X(エックス)」。農林漁業に従事する傍ら、リモートワークで本業も継続する。県が地方への移住定住に関心のある人を対象に実施した体験モニターの参加者からは「いろいろなひらめきがあり、貴重な体験だった」「居心地がよく、また参加したい」と前向きな声が上がった。

ネギ皮むき体験ギタリスト「ひらめき感じた」

秋田県八峰町 拡大
秋田県八峰町

 秋田・青森両県にまたがる世界自然遺産・白神山地のふもとの海沿いに位置する人口6500人余りの八峰(はっぽう)町。ここで2021年11~12月、「半農半X」体験モニターが行われ、県内外からさまざまな職種の7人が参加した。

 モニターの体験期間は2~3週間で、11月には秋田市で動画制作に携わる20代の男性と、愛知県の40代の男性エンジニアの2人が参加。12月は東京都、大阪府、愛知県などからギタリストや観光業の会社員ら、女性2人を含む20~40代の5人が加わった。

 いずれもインターネット環境が整った農家民泊に滞在し、農業法人などで出荷前のネギの皮むきやシイタケ栽培、冬山の手入れ、八森漁港でのハタハタの選別作業などを体験。その傍ら、オンラインで本業の仕事にも取り組んだ。

「半農半X」を通じて町の活性化に取り組む秋田県八峰町観光協会の板谷大樹事務局長=2022年2月25日、田村彦志撮影 拡大
「半農半X」を通じて町の活性化に取り組む秋田県八峰町観光協会の板谷大樹事務局長=2022年2月25日、田村彦志撮影

 県から事業を受託し、窓口になった町観光協会事務局長の板谷大樹さん(40)は、山形県東根市生まれ。父親の出身地の秋田に移住し、13年に協会に就職するまでは旅行会社に勤めていた。「人を呼び寄せるという意味で仕事は同じ」と旅行会社での経験を生かし、参加者と受け入れ先の橋渡し役を担った。

 ギタリストの男性はブラジル人アーティストの妻と参加。ネギの皮むき作業や冬山の手入れなどに従事した。2人は「さまざまな体験でひらめきを感じた」と話し、本業にも好影響だったという。他の参加者からも「本業を続けられるなら、働き方を考える参考になる」といった感想が寄せられた。板谷さんは事業の継続に可能性を感じている。

 ただ、今回の体験モニターは宿泊や滞在費が無料で、上限5万円で旅費の助成もあった。今後はこれらの費用は参加者負担になる。受け入れる側が人手を必要とする繁忙期と、参加者側の希望時期の調整も課題だ。それでも板谷さんは「関係団体と継続に向けて協議していきたい」と意気込む。【田村彦志】

半農半X

 本業の仕事=「X」を続けながら、農林漁業に従事する新しい兼業スタイルとして秋田県が進めている。八峰町は2021年に実施した体験モニターを踏まえ、参加者がオンラインで本業に取り組みやすいよう、22年度に町内の観光施設「ポンポコ山公園」のバンガロー村にインターネット環境を整備する方針。

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