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文化財の表具の修復に使う手漉(す)き和紙「美栖紙(みすがみ)」を、吉野町南大野の実家兼工房で作る。「大変ありがたい。原料のコウゾなどの生産者、木枠などの用具の職人、文化財の修復に使ってくれる技術者に感謝したい。一緒に作業する家内にもお礼を言わないといけない」と喜ぶ。
吉野町窪垣内(くぼがいと)・南大野地区には、明治期に紙すきの工房が280件ほどあったが、今は5件に。実家も200年続く紙すき職人の家系で、幼い頃から両親を手伝った。働いていた銀行を定年後は一層修業に励んだ。先代の「信頼を得るには手抜きをしてはならない」との教えを守り、2009年に国選定保存技術保持者に、20年には県伝統工芸士に認定された。
16ある工程の中で、上窪さんはコウゾを灰汁(あく)で炊く「煮熟(しゃじゅく)」に特に労を割く。「自然木なので、皆アルカリ度数が違う。まきの火加減を調整し、コウゾをほぐしながら均等に煮るのが難しい」。紙すきを担う妻久子さん(71)とともに和紙を作り上げる。
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