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カジノを含む統合型リゾート(IR)について、大阪府・大阪市と長崎県が、整備計画の認定を国に申請した。
今後、有識者による委員会で審査される。コロナ禍の影響などを踏まえ、計画に無理がないか厳しく精査しなければならない。
国は最大で3カ所の整備を想定し、当初は4地域が名乗りを上げていたが、申請は2地域にとどまった。IRへの疑問と不安が根強いことを示している。
和歌山県は、申請期限直前に県議会で議案が否決された。資金調達計画の曖昧さが理由だ。横浜市は昨年、誘致反対を掲げた市長が当選し、計画を撤回した。
申請した地域も問題を抱える。
大阪ではIR事業者が、整備予定地の人工島・夢洲(ゆめしま)に液状化の危険があると指摘した。大阪市は土壌改良なども含め、対策費約790億円の支出を決めた。
しかし、埋め立て地に関し、市が液状化対策費を負担した先例はない。そもそもIRは、法律で「民設民営」と定められている。
松井一郎市長は「安全な土地を提供するのが市の責任」と語ったが、IRありきで優遇したといわれても仕方がない。
テーマパーク「ハウステンボス」の隣接地で整備を予定する長崎は、資金調達計画が不明確だ。
県は初期投資の約4383億円を出資・融資する企業について、「非公表を要望されている」との理由で名前を明かしていない。
IRは、東京オリンピック後の成長戦略の柱に位置づけられてきた。政府は、地域活性化や税収増が見込めると強調している。
だがコロナ禍で、その前提が崩れている。訪日観光客に頼る経済政策の限界が明らかになった。オンライン化が進み、国際会議場や展示場の需要は減っている。
世界的に見ても、カジノの収益を当てにしたリゾート開発は、曲がり角に来ている。オンラインによるギャンブルに力を入れるカジノ事業者も増えている。
ギャンブル依存症も心配だ。国の調査では、依存が疑われる人が2・2%に上る。さらに広がる恐れがある。
地域振興を理由に、賭博を解禁することへの疑問も消えない。このまま突き進んでは禍根を残す。