「売るほど赤字」 撤退相次ぐ新電力の苦境とその余波

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電力を送るために建てられた鉄塔=相模原市緑区で2021年11月25日、武市公孝撮影
電力を送るために建てられた鉄塔=相模原市緑区で2021年11月25日、武市公孝撮影

 2016年の電力小売り全面自由化で参入した「新電力」と呼ばれる電力会社の事業撤退が相次いでいる。ロシアのウクライナ侵攻に伴う燃料価格高騰などで、電気を売れば売るほど赤字が増える「逆ざや」が続いているためだ。顧客だった企業や自治体は契約先の切り替えに追われ、電力大手にも思わぬしわ寄せが及んでいる。電力業界で今、何が起きているのか。

唐突に届いた通知

 「電力の供給停止と、契約先の切り替えを求める通知が3月中旬、突然送られてきた。供給停止まで5日間しかなかった」。中国地方のある自治体関係者は当時の混乱ぶりをこう語る。

 通知してきたのは、新電力「ホープエナジー」(福岡市)だ。この自治体は21年10月から3年契約で、ホープエナジーから下水関連施設など生活インフラ向けの電力を調達していた。だが、唐突な撤退連絡によって、わずか半年後の3月22日に供給が止まった。ホープエナジーは電力の調達コスト急増で、電力を顧客に届けるための送配電網の使用料金を支払えず、営業停止に追い込まれていた。

 下水施設などの電力が止まれば市民生活の混乱は避けられない。そこで、この自治体は、代替の契約先が見つかるまでの間、地元の送配電会社から電力供給を受けられる制度「最終保障供給」を利用して電気を買うことになった。ただ、電気料金は大手電力の標準料金メニューの約1・2倍徴収される。ホープエナジーは本来契約違反で違約金も発生するが、約300億円の負債を抱えて破産を申し立てており、自治体が回収できる可能性は低い。関係者は「正直、勘弁してほしい」と嘆いた。

破綻したビジネスモデル

 ホープエナジーは、18年3月に電力小売り事業に参入した親会社「ホープ」の事業を引き継いだ…

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