- ツイート
- みんなのツイートを見る
- シェア
- ブックマーク
- 保存
- メール
- リンク
- 印刷
新型コロナウイルスの感染者数が、高止まりしている。既に主流となっているオミクロン株の派生型「BA・2」について、国は一部の治療薬の効果が弱まる恐れがあるとの見解を示した。70床の中等症病床を持つ大阪市立十三市民病院(同市淀川区)の倉井修院長(61)は、改めて早期治療の必要性を訴えている。【柳楽未来】
「第6波では、発症してから入院までの時間が長引き、必要な薬が使えないケースが出る問題があった」。倉井院長は、こう振り返る。
病院によると、第6波の時期に相当する2021年12月1日~4月15日、336人の入院患者を受け入れた。軽症や中等症Ⅰの患者に使える薬のうちウイルスの増殖を抑える抗ウイルス薬は、点滴薬「レムデシビル」を102人、ともに飲み薬である「モルヌピラビル」を50人、「ニルマトレルビル/リトナビル」を5人に投与した。ウイルスが細胞に入り込むのを防ぐ中和抗体薬の点滴「ソトロビマブ」は138人で最多だった。
どの薬も発症から5~7日以内に使用する必要がある。十三市民病院では、第6波で70代の男性3人が重症化し、重症者を受け入れる病院に転院した。いずれも発症から7日以上たって症状が悪化してから入院しており、こうした薬を投与できなかったという。大阪府内で連日1万人超の感染者が確認され、入院調整をする保健所の処理能力を上回ったことなどが遅れにつながったとみられる。
第7波では、治療薬の選択肢が狭まる可能性がある。従来株で有効だったソトロビマブについて、厚生労働省はBA・2には効果が弱まる恐れがあるとして注意を呼びかけると決めた。一方、レムデシビルなどの抗ウイルス薬の効果は変わらないとされている。倉井院長は「次の感染拡大では、抗ウイルス薬が中心となる。コロナと診断されたらすぐに治療を受けられる医療体制がより重要になる」と指摘する。