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兵庫県北部の豊岡市は、観光資源の宝庫だと実感しています。2019年9月に家族で東京から引っ越してきて、最も気に入っているのは玄武洞ですね。160万年前の火山活動でできた洞で、溶岩の割れ目が柱状に固まった柱状節理が斜めに並んでいて、目の前に立つと次第に平衡感覚を失う気分になります。何度行っても驚きがあります。
南北の地磁気が過去に逆転していたことが判明したのも、玄武洞の岩石の研究がきっかけでした。地球史の、この科学的事実をヒントに、玄武洞脇の洞穴をくぐって別世界にたどり着く「十五少年・少女漂流記」を書き下ろし、地元の中高生に演じてもらいました。異次元の世界に連れていかれるような不思議な空間です。9月の豊岡演劇祭では、玄武洞前でパフォーマンスができればいいですね。
豊岡市の魅力は玄武洞だけではなく、むしろ多様性です。温泉で有名な城崎、そば処(どころ)で有名な出石(いずし)など個性的な町の合併で大きくなり、相乗効果が出ています。神鍋高原ではスキーだけではなく、気球やモトクロスも楽しめ、コウノトリの郷(さと)公園もある。日本海の「青の洞窟」とも言われる竹野浜の清瀧(せいりゅう)洞門へは、小型船やカヌーでしか行けませんが、幻想的な光景が楽しめます。
昼のスポーツと夜のアート、そして人を引き付けるスポット。実に多彩な但馬は国際的なリゾートに脱皮できるポテンシャルがあります。【聞き手=神戸支局長・石川隆宣】
<メモ>
玄武洞がある玄武洞公園へは、JR山陰線の城崎温泉駅や豊岡駅からは車で10~15分。玄武洞駅からは渡し船(大人片道400円、要予約)を利用できる。公園は入場無料だが改修工事中。五つある洞のうち青龍洞は現在観覧できない。また、玄武洞も5月9日から今夏の工事終了まで間近には見られなくなる。リニューアルオープン後は有料(大人500円)となる予定。近くには玄武洞ミュージアム(0796・23・3821)がある。問い合わせは豊岡市大交流課(0796・21・9016)。
次回は沖縄県です
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■人物略歴
平田オリザ(ひらた・おりざ)さん
1962年、東京生まれ。劇作家・演出家。劇団「青年団」主宰。2019年、「日本文学盛衰史」で第22回鶴屋南北戯曲賞受賞。演劇と観光を学べる兵庫県立の芸術文化観光専門職大(兵庫県豊岡市)が21年に開学し、学長に就任した。豊岡演劇祭のフェスティバル・ディレクターも務める。