特発性過眠症「遺伝子変異がリスク」 都医学総合研究所など発表

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特発性過眠症のリスクとなる遺伝子変異に関する研究を紹介する東京都医学総合研究所のウェブサイト 拡大
特発性過眠症のリスクとなる遺伝子変異に関する研究を紹介する東京都医学総合研究所のウェブサイト

 睡眠時間が異常に長くなったり、目が覚めても強い眠気が持続したりする「特発性過眠症(とくはつせいかみんしょう)」について、発症のリスクを上げる遺伝子の変異を見つけたと、東京都医学総合研究所などのチームが英科学誌で発表した。これまで原因が分からず、薬が効果を示しにくいなどの課題があった。遺伝子変異による発症の仕組みがうかがえる結果も得た。

 特発性過眠症は、軽症も含め1万人に1~5人が発症するとみられている。目覚めの悪さや寝ぼけた状態が続くのが特徴で、重症になると1日16時間も眠ってしまうことがあり、日常生活に支障をきたす。家族内での発症が多く、遺伝的な要因が疑われてきた。

 脳内には、睡眠と覚醒を調整する物質「オレキシン」があり、そのもとになるのが「前駆体」と呼ばれる物質だ。研究チームは、特発性過眠症と診断された598人のDNAを解析。健康な人9826人と比べたところ、前駆体の遺伝子に高い確率で変異が起きていることを見つけた。この結果を受けて、変異がある場合の特発性過眠症になるリスクを調べてみると、5・36倍になった。

 前駆体は酵素によって二つに切断され、オレキシンAとオレキシンBとなって体に作用する。今回見つかった変異は、この切断部分で発生。変異している場合は酵素が作用できず、前駆体が切断されずに機能を発揮しない可能性がうかがえた。研究チームは、特発性過眠症を引き起こす仕組みは多様だが、オレキシンが関与するケースもあるとみる。

 現在、治療には覚醒を促す薬が使われているが、効果が少ない一方で、動悸(どうき)や吐き気などの副作用が出やすいという。国内外ではオレキシンの異常を調節する薬の開発が進められており、特発性過眠症の患者に効果を示す可能性がある。

 研究チームの宮川卓・都医学総合研究所副参事研究員(睡眠学)は「遺伝子変異がリスクと明らかになったが、必ずしも遺伝して発症するわけではない。今後は、オレキシン以外の発症リスクも調べていきたい」と話した。

 成果は、英科学誌「npjゲノミック・メディシン」で発表した。【渡辺諒】

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