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ウクライナ侵攻

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻から1年。長期化する戦闘、大きく変化した国際社会の行方は……。

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外貨準備で読み解く ロシアの「入念な準備」と「誤算」

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対ドル、対ユーロのルーブルの為替レートを示す電光掲示板の前を通り過ぎる人々=モスクワで2月28日、AP
対ドル、対ユーロのルーブルの為替レートを示す電光掲示板の前を通り過ぎる人々=モスクワで2月28日、AP

 ロシアはいつからウクライナ侵攻を準備していたのか――。為替介入などに備えて通貨当局が保有している「外貨準備」の変遷を検証し、有識者や当局取材を交えてロシアの思惑に迫った。そこから見えてきたものはロシアの入念な準備と、侵攻後の「誤算」だ。

外貨準備規模は5年で1.5倍に

 ロシア中央銀行は3カ月に1度、外貨準備の通貨別の保有割合を公表してきた。2017~22年のデータを比較した。17~21年は6月末時点、22年は先日公開されたばかりの1月1日時点の数値だ。

 目に付くのが、外貨準備の規模と、構成通貨の割合が大きく変化していることだ。17年の全体額は4178億ドル(約54兆円)。これが22年には6129億ドルと1・5倍になっている。

 背景にあるのは14年のクリミア併合だ。ロシアは米国や欧州連合(EU)などから制裁を受け、国内経済の停滞を招いた。この反省から、経済が不安定化した際の「保険」となる外貨準備の規模を着々と拡大してきたことが分かる。

 ロシアは世界有数の資源国。輸出額の半分近くを原油や天然ガス、石炭、貴金属などが占めている。資源輸出で稼いだマネーを外貨準備として積み上げて、新たな「有事」に備えてきたようだ。

ドルと人民元が逆転

 外貨準備は、有事でも通用するよう世界通貨であるドルを主体とするのが通常だ。国際通貨基金(IMF)によると21年末の世界の外貨準備のうち、ドルの割合は実に58・81%と圧倒的なシェアを誇る。

 しかし、ロシアは意図的にドルの保有割合を減らしている。17年に46・3%だったドルの割合は21年に16・4%まで低下。22年には10・9%まで絞っている。

 代わって保有割合が急増しているのが中国の通貨、人民元だ…

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【ウクライナ侵攻】

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