四半期開示見直し 首相「肝いり」政策はなぜ迷走したのか

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上場企業には決算短信の開示が義務付けられている。写真は東京証券取引所の電光掲示板=東京都中央区で2021年12月30日、前田梨里子撮影
上場企業には決算短信の開示が義務付けられている。写真は東京証券取引所の電光掲示板=東京都中央区で2021年12月30日、前田梨里子撮影

 岸田文雄首相が看板政策に掲げる「新しい資本主義」の柱の一つとして打ち出した企業の四半期開示をめぐる議論が迷走している。政府が4月に出した結論は、当初想定していた四半期開示の廃止ではなく、現在、2種類ある四半期業績に関する決算書類を一本化するという玉虫色の内容。首相の肝いり政策は、どうしてすり替わったのか。

四半期開示の「廃止」目指した首相

 「企業が長期的な視点に立って、株主だけではなく、従業員も、取引先も恩恵を受けられる『三方良し』の経営を行うことが重要だ」。岸田氏は2021年10月の所信表明演説でこう強調し、四半期開示の見直しに向け「環境整備を進める」と明言した。

 当時、首相の念頭にあったのは、企業が3カ月に1度、決算内容を公表している四半期開示の義務付けそのものを廃止することだったことは明らかだ。

 首相が掲げる「新しい資本主義」の狙いは、成長や利益追求を重視してきたアベノミクス路線を転換し「成長と分配の好循環」を実現することにある。

 四半期開示によって企業経営者、投資家が目先の利益ばかりを重視する「短期思考」に陥り、従業員の待遇改善など中長期的な発想ができていない――。こうした思いが出発点になったと見られる。

 首相に検討を指示された鈴木俊一財務相兼金融担当相は今年1月28日の閣議後記者会見で「新しい資本主義において、企業は短期的利益よりも長期的な成長を重視し経営を行っていくことが重要だ」としたうえで、こう強調してみせた。「経済界からも『投資家や企業の短期的利益への志向を助長するため(四半期開示を)見直すべきだ』との意見があると承知している」。政府がこの時点ではまだ四半期開示の廃止を目指していたことが分かる。

審議会は廃止「反対」一色に

 それがなぜ、決算書類の一本化という結論になってしまったのか。事態を大きく動かしたのは、金融庁の審議会だ。

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