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学校教育の一環とされてきた部活動。教員の長時間労働や少子化などを背景に、従来の活動が成り立たなくなりつつあります。

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教育は誰のため?考える好機 「野球のカリスマ監督」猿橋善宏さん

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中学教諭時代は軟式野球部監督として輝かしい実績を残し、現在は仙台育英高で硬式野球部長を務める猿橋善宏さん=宮城県多賀城市の仙台育英高で2022年4月26日、川村咲平撮影
中学教諭時代は軟式野球部監督として輝かしい実績を残し、現在は仙台育英高で硬式野球部長を務める猿橋善宏さん=宮城県多賀城市の仙台育英高で2022年4月26日、川村咲平撮影

 宮城・仙台育英高で硬式野球部長を務める猿橋善宏さん(60)は、宮城県の公立中で長年にわたって野球部監督を務め、4回の全国大会出場を果たした。「軟式野球のカリスマ監督」と呼ばれ、教員として人間教育の視点から部活動に情熱を注いだからこそ「地域移行」に伴う部活改革の課題を感じている。【聞き手・川村咲平】

 ――部活の意義をどうお考えですか。

 ◆時代の移ろいとともに、部活の意義は大きく変わりました。私が教員に採用された1980年代は学校が荒廃した時代で、部活指導を通じて生徒を管理する意味がすごく大きかった。裏を返せば、部活の場面しか生徒に常識的な行動を教えられないほど、生徒の有り余るエネルギーを方向付けることが難しかった時代だった。部活はかつて、集団行動を大切にさせたり、礼儀作法を身に付けさせたりする場所という位置付けだったが、時代とともに音楽やスポーツを教育的効果を最大限に発揮する「仕掛け」ととらえ、周囲の人間との関係性を構築し、自己実現を目指す場所に役割を変えた。授業だけでは身に付けられない(テストなどで数値化することが難しい)「非認知能力」を補うには最適の機会になった。

 ――一方で、部活には「厳し過ぎる指導」という否定的な印象があり、教員の負担が大き過ぎるという課題も浮き彫りになりました。

 ◆あまりに集団統制的な活動が長く続き過ぎたために、「ブラック部活」という言葉に象徴され…

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【部活クライシス】

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