- ツイート
- みんなのツイートを見る
- シェア
- ブックマーク
- 保存
- メール
- リンク
- 印刷

ロシア軍が包囲するウクライナ南東部マリウポリのアゾフスターリ製鉄所で、内務省傘下の戦闘部隊「アゾフ大隊」が立てこもり、露軍との戦いを続けている。民間人の退避が難航する中、製鉄所で今、何が起きているのか。アゾフ大隊の隊員やその家族が取材に応じた。
アゾフ大隊隊員「撤退すべき時だ」
「既に食料、弾薬、医薬品は尽きている。人々はドッグフードを食べ、命をつないでいる」。首都キーウ(キエフ)に駐在するアゾフ大隊のイリア・ルヨバ隊員(24)は毎日新聞の取材に、硬い表情で答えた。
アゾフ大隊は2014年、ロシアがウクライナ南部クリミア半島を一方的に編入し、東部で親露派武装勢力とウクライナ軍の戦闘が始まった後、ユダヤ系富豪の支援で誕生した民兵組織だ。同年6月、親露派からマリウポリを奪還した戦いで活躍し、脚光を浴びた。その後はウクライナ内務省傘下となり、東部などで戦闘を続けてきた。ルヨバ氏によると、大隊は以前から「ロシアの全面侵攻を想定し、部隊の増設など準備をすべきだ」と主張してきたが、その訴えは軍に浸透しなかったという。
露軍が2月24日に侵攻を開始すると、大隊はウクライナ軍とともに主にマリウポリの防御にあたった。だが、武器の質や兵士の数で優位に立つ露軍は3月上旬に街を包囲。大隊は地下シェルターがある製鉄所を拠点とし、避難した市民を保護しながら戦ってきた。だが包囲から既に約2カ月が経過した。数百人の兵士が死亡または負傷し、大隊をサポートする医師も殺害されたという。生存している兵士の数は不明だ。
さらに、4月30日から始まった国連などによる市民の退避作業が「状況を悪化させた」(ルヨバ氏)。退避…
この記事は有料記事です。
残り1482文字(全文2181文字)