火山のない能登、前例なき地下の動き 急な隆起と群発地震の謎
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石川県能登地方で、これまでにない地殻変動と、それに伴うとみられる頻繁な地震活動が観測されている。3月には最大震度4の2回を含む計22回の有感地震(人が揺れを感じる震度1以上の地震)があり、この地域の1カ月の回数としては最多となった。専門家は「群発地震」とみている。また、地殻変動はここ3年半の間で隆起が3センチに達し、付近に火山などのない地域では異例といえる現象だ。考えられるメカニズムと地震活動の行方を探った。
国土地理院は、能登半島先端の珠洲(すず)市で2018年12月以降22年3月までに約3センチの地面の隆起を観測した。一方、政府の地震調査委員会(委員長・平田直<なおし>東京大名誉教授)によると、18年から地震活動が活発になり、21年7月以降著しくなった。同年9月にはマグニチュード(地震の規模、M)5・1の地震があり、珠洲市で震度5弱を観測。20年12月から22年4月11日午前8時までの間に、有感地震が計115回起きた。
隆起と頻発する地震について、平田委員長は4月の定例記者会見で「能登半島では気象庁の観測活動がある中では同様の地震活動が観測されておらず、初めての経験だ。複数のメカニズムが検討されているが、特定には至っていない」と説明した。国土地理院は想定される地殻変動のメカニズムとして、①地下に大量の流体(水など)がたまり地盤を押し上げた②通常の地震とは異なる仕組みで断層がずれ動く現象「ゆっくりすべり」が起きた③断層の隙間(すきま)に入り込んだ流体が断層を押し広げた――の三つを挙げている。
「火山のない地域で短期間に突然、地面が盛り上がる現象は珍しい」。能登地方の地殻変動に詳しい京都大防災研究所の西村卓也准教授(測地学)はこう話す。…
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