「昼でも星を」プラネタリウム発明100年 国内外で記念イベント

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現役としては国内最古の投影機「カールツァイス・イエナUPP23-3」(1960年設置)=兵庫県明石市立天文科学館で2021年7月21日、大川泰弘撮影 拡大
現役としては国内最古の投影機「カールツァイス・イエナUPP23-3」(1960年設置)=兵庫県明石市立天文科学館で2021年7月21日、大川泰弘撮影

 投影機で星空を再現するプラネタリウムがドイツで発明されて2023年で100年になる。23~25年には記念イベントが世界中で開かれ、国内では兵庫県明石市立天文科学館が音頭をとる。同館の井上毅館長は「手の届かない宇宙を身近な所に置いて眺めたいという強い思いから多くの装置が作られた」と解説する。

 人々は太古から星を見つめてきた。暦に天体観測が欠かせず、古代エジプトではナイル川の氾濫時期を知るのに必要だった。古代ギリシャでは、吟遊詩人アラトスが書いた天文詩を基に多くの天球儀が作られた。星は想像力を刺激し、さまざまな物語も生んだ。昼に星を見ることは多くの人の夢だった。

源流は17世紀のドイツに

 プラネタリウムの源流は二つある。一つは、大きな天球儀で中から見る仕掛けだ。17世紀にホルシュタイン公国(現在のドイツ北部)で作られたゴットルプはこのタイプだ。ロシア・ロマノスク博物館に復元された直径4メートルの銅板製が展示されている。外側は地球儀、内側に星と星座が描かれた。球は回転し、10人がいすに座って夜空を楽しめた。名前は、置かれた城の名にちなむ。

 もう一つは、複雑な惑星の動きを再現したものだ。オランダにある現存最古のプラネタリウムがこのタイプだ。18世紀、4個の惑星と月が集まる珍現象が起こり、「悪いことの予兆」とのうわさが広まった。アマチュアの天文家アイジンガーは1781年、天文知識を普及させる必要性を感じ、自宅に太陽系の模型を製作し、プラネタリウムと名づけた。

 20世紀初頭のドイツでは、国の発展のため科学教育が重視されていた。ドーム天井に星に見立てた穴をあけ、天井を動かす展示装置はあったが、星空には程遠い代物だった。

「より本物に近く」投影機が登場

 ミュンヘンにあるドイツ博物館の館長、オスカー・フォン・ミューラーはリアルな展示に徹底的にこだわる人で、本物に見える星空の展示を思い立った。ハイデルベルク天文台長のマックス・ウォルフ、イエナ市にあるカールツァイス社の天才技師、ウォルター・バウアースフェルトを巻き込んで議論を重ねた。これまでの星を動かす方式ではなく、ドームの中心に投影機を置いて星を映し出すという手法をバウアースフェルトが提案し、1923年に投影機「カールツァイスⅠ型」が完成した。

 4500個の恒星と5個の惑星の運行を再現することができた。2台作られ、1台がドイツ博物館に納入された。大きな球が一つ。北半球の星を投影した。井上館長は「自由な表現とリアルさを実現した」と指摘する。その後のプラネタリウムの原型となった。後の機種では南半球の星を投影する球が加わり、おなじみのダンベル型になる。

国内の現役最古は兵庫・明石に

 日本初のプネタリウムは、1937年に「カールツァイスⅡ型」を設置した大阪市立電気科学館(現市立科学館)。58年には千代田光学精工(現コニカミノルタプラネタリウム)が初の国産投影機を完成させた。明石市立天文科学館では、現役としては国内最古の投影機「カールツァイス・イエナUPP23―3」(1960年設置)が星空を再現し続けている。【大川泰弘】

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