高校生が16年間伸ばした髪 亡き祖父にささげるヘアドネーション
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病気やけがで頭髪を失った子どもたちの医療用ウイッグ(かつら)に髪の毛を寄付する「ヘアドネーション」のため、京都市伏見区の京都橘高2年、野々口寿璃(じゅりー)さん(16)が4月、16年間伸ばし続けてきた頭髪をカットした。大切な人を救えなかった悔しさが、「誰かの力になりたい」という思いを後押しした。
助けたかったけれど…
きっかけは祖父・昭さんとの別れだった。両親が共働きだった野々口さんは、幼い頃から同居する昭さんが遊び相手の、典型的な「おじいちゃん子」だった。伸ばし続けた長髪も、祖父を喜ばせるため。野々口さんは小学生の間、北野天満宮(同市上京区)の祭礼で装束を着けて舞う「八乙女」として活動し、その独特の髪形には、長髪の方が整えやすかった。昭さんは、孫娘の舞い姿を見るのを誰よりも楽しみにしていた。
しかし昭さんは2015年ごろから悪性リンパ腫が悪化し、抗がん剤の影響で頭髪が抜けた。入院先で再会した野々口さんは、その姿にショックを受けた。母の香織さん(55)から状況を説明され、「ヘアドネーション」という支援を知った。「私が助ける」と髪を切ろうと思ったが、最後の八乙女の舞が控えていたこともあり、果たせなかった。その舞を見ることなく、昭さんは17年3月に73歳で亡くなった。
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