高校生が16年間伸ばした髪 亡き祖父にささげるヘアドネーション

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ヘアドネーションのためにカットした髪の毛を手に笑顔を見せる野々口寿璃さん=京都市伏見区で2022年4月20日午後9時25分、花澤茂人撮影
ヘアドネーションのためにカットした髪の毛を手に笑顔を見せる野々口寿璃さん=京都市伏見区で2022年4月20日午後9時25分、花澤茂人撮影

 病気やけがで頭髪を失った子どもたちの医療用ウイッグ(かつら)に髪の毛を寄付する「ヘアドネーション」のため、京都市伏見区の京都橘高2年、野々口寿璃(じゅりー)さん(16)が4月、16年間伸ばし続けてきた頭髪をカットした。大切な人を救えなかった悔しさが、「誰かの力になりたい」という思いを後押しした。

助けたかったけれど…

 きっかけは祖父・昭さんとの別れだった。両親が共働きだった野々口さんは、幼い頃から同居する昭さんが遊び相手の、典型的な「おじいちゃん子」だった。伸ばし続けた長髪も、祖父を喜ばせるため。野々口さんは小学生の間、北野天満宮(同市上京区)の祭礼で装束を着けて舞う「八乙女」として活動し、その独特の髪形には、長髪の方が整えやすかった。昭さんは、孫娘の舞い姿を見るのを誰よりも楽しみにしていた。

 しかし昭さんは2015年ごろから悪性リンパ腫が悪化し、抗がん剤の影響で頭髪が抜けた。入院先で再会した野々口さんは、その姿にショックを受けた。母の香織さん(55)から状況を説明され、「ヘアドネーション」という支援を知った。「私が助ける」と髪を切ろうと思ったが、最後の八乙女の舞が控えていたこともあり、果たせなかった。その舞を見ることなく、昭さんは17年3月に73歳で亡くなった。

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