反ヘイト「路上寝転び抗議」で摘発 17人書類送検 警視庁

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デモに対し路上に寝転んで抗議を続けた=東京都武蔵野市のJR吉祥寺駅前で2021年12月4日午後2時53分、斎藤文太郎撮影 拡大
デモに対し路上に寝転んで抗議を続けた=東京都武蔵野市のJR吉祥寺駅前で2021年12月4日午後2時53分、斎藤文太郎撮影

 2021年12月に東京都武蔵野市の車道上で交通の妨害になるように寝転んだなどとして、警視庁は10日、同市の「外国人住民投票条例案」に反対するデモに抗議していた30~60代の男女17人を道路交通法違反(道路における禁止行為)の疑いで東京地検立川支部に書類送検した。捜査関係者への取材で判明した。路上に寝転んで抗議する手法は「シットイン」と呼ばれるが、警視庁は交通量の多い都市部の車道に出る行為は危険性が高く、周囲で渋滞が発生するなどの影響も大きかったと判断した。

 書類送検容疑は21年12月4日午後3時ごろ、武蔵野市のJR吉祥寺駅前の車道で、寝転んだり座ったりしたとしている。17人は大筋で容疑を認め、「正当な理由があった」「車両に迷惑をかけたことは申し訳ない」などと供述しているという。デモに抗議するためにネット交流サービス(SNS)などを通じて集まったとみられる。

 JR吉祥寺駅周辺では同日午後2時半~3時半ごろ、政治団体「日本第一党」の約100人が、外国人の住民投票をめぐる条例案に反対するデモを実施。現場となった吉祥寺駅前では、片側2車線のうちの1車線を団体が歩き、もう1車線を一般の車両が通行していた。だが、書類送検された17人は「ヘイトデモを許すな」などと書かれたボードを掲げながら、団体がデモ通行していた車線の道路上で寝転がったり座り込んだりしたという。警察官が「道交法違反に当たります。速やかに移動してください」と警告したが動かなかったため、団体は車両が通行していた車線に移ってデモを続けた。その際、数分間にわたって二つの車線が封鎖され、路線バスなどが渋滞に巻き込まれたという。

「なぜ今回だけは摘発されるのか」

 道交法は、道路上で寝そべったり、座ったりして交通の妨害になる行為を禁じ、違反した場合は「5万円以下の罰金」の罰則がある。書類送検された都内に住む自営業の50代男性は毎日新聞の取材に「道交法違反に当たることは分かっていたが、デモを止めるためには仕方なかった」と強調する。これまでも、排外主義的な主張に抗議するためにシットインをしたものの立件されたことはないといい「なぜ今回だけは摘発されるのか」と疑問を呈した。「反ヘイトの活動が縮小しないようにしたい」とも話した。

 一方、捜査幹部は「交通量の多い場所で寝転んだりするのは危険な行為である上、渋滞が発生するなど周囲への影響が大きかったことも考慮した。過去にもシットインにより通行が妨げられたケースが立件されたこともある」と話した。

 差別やヘイトスピーチに詳しい猪野亨弁護士(札幌弁護士会)は「排外主義的な主張には全く共感できないが、シットインでの抗議は実力行使に等しい。現場で対立を生むだけなので、もっと共感を得られる手法で相手の主張のおかしさを訴えるべきだ」と指摘する。警察当局の介入については「抑制的であるべきだが、摘発にいたるかどうかは場所などによる」との見解を示し、「JR吉祥寺駅周辺は通行量が多い。警察は一般車両への影響などを重くみたのではないか」と話した。

 同条例案は、外国人が日本人と同条件で住民投票に参加できるようにするものだったが、21年12月21日の市議会本会議で反対多数で否決された。【斎藤文太郎】

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