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沖縄復帰50年

2022年5月15日、沖縄は本土に復帰して50年を迎えました。何が変わり、何が変わっていないのか。沖縄の歩みと「今」を伝えます。

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「クソのような節目」 沖縄復帰50年、芥川賞作家が憤怒する訳

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辺野古の海で毎日のように行われるカヌーでの抗議行動前のひとコマ。海を見つめる目取真俊さん=沖縄県名護市辺野古で2018年12月14日午後1時53分、佐野格撮影
辺野古の海で毎日のように行われるカヌーでの抗議行動前のひとコマ。海を見つめる目取真俊さん=沖縄県名護市辺野古で2018年12月14日午後1時53分、佐野格撮影

 マスコミ的だなあ、と思う。今月15日に迎える「沖縄復帰50年」である。数字に引っかけて報じる自分が恥ずかしい。恥ずかしいが、記さねばならない。沖縄人の芥川賞作家、目取真俊(めどるま・しゅん)さん(61)が日本人一人一人に向けた憤怒の言葉を。【吉井理記】

 テレビ欄を見て、考え込んでしまった。

 手元に4月最終週(4月24~30日)の朝刊(本紙東京本社発行分)がある。何せ「復帰50年」の直前だ。普段は沖縄の問題をほとんど報じない在京キー局もさすがに報道するだろうと思い、地上波の番組の予告内容をテレビ欄から拾ってみたのだ。

 ところが――。

 番組名や予告に「沖縄」の文字が記されていたのは五つ。そのうち四つは観光や自然、沖縄が舞台のドラマの番組宣伝で、「復帰」について多少なりとも掘り下げたのはNHK「ニュースウオッチ9」で放映された「皇室と沖縄の50年」だけだった。

 節目を前にこれである。しかも辺野古(沖縄県名護市)では今この時も、県民投票や知事選などで示されてきた民意を無視し、政府が新たな米軍基地の建設を続ける「異常事態」のまっただ中である。テレビ欄はその番組や局が最もウリにしたい中身を記す欄だ。これが今の日本の空気なのだろう。

 目取真さんは、もはやあきれ果てていた。

 「沖縄への無関心は今に始まったことではありません。今までもそうだったし、…

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【沖縄復帰50年】

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