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毎日新聞デジタルの「SUNDAY LIBRARY」ページです。「サンデー毎日」の書評「SUNDAY LIBRARY」の記事を掲載します。
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◇平凡な日常のなかに訪れる生を豊かにしてくれる孤独
◆『夏のヴィラ』ペク・スリン/著 カン・バンファ/訳(書肆侃侃房/税込み1870円) 韓国で評価の高い女性作家の繊細で静かな短篇集。ストーリーの展開より、主人公たちの心の動きで読ませてゆく。
韓国の文学という言い方はもういらないだろう。普遍性がある。日本の小説、あるいはフランスの小説といっても通じる。
八篇から成る。「時間の軌跡」は、西洋美術史を学ぶためにパリに留学した若い女性が、韓国からの駐在員の女性と親しくなる。年上の女性で主人公にいろいろなことを教えてくれる。彼女はパリの韓国人のあいだで決して評判はよくないが、若い主人公は自由で軽やかな彼女の魅力に惹(ひ)かれてゆく。
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