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アメリカで生活を始めて驚いたのは、人々が喜んで歯医者に行くことだった。白くて虫歯のない美しい歯が憧れ、という国だから、子どもは歯の矯正をレディーやジェントルマンへの第一歩として楽しみにし、誰もが「歯のクリーニングは好き」と言うのだ。
昔、小学校の集団検診でちょっとでも虫歯になりかけた歯があれば「要治療」の紙をもらい、あの「キュイーン」の高音に顔をしかめて、いや応なしに歯を削られてきた私からすると、不思議でならなかった。
だんだんと分かったことは「痛くなってから歯医者に駆け込む日本」と「虫歯予防のために歯医者に通うアメリカ」の違いだった。アメリカの歯医者さんは初期の虫歯を見つけると、「丁寧にブラッシングしてケアすれば治る可能性がありますから」と削らない。「だったら治そう!」と思い、クリーニングで歯をつるつるにしてもらって帰る。いつしか私もアメリカの人たちと同様に、歯医者通いがルーティンに加わった。
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