経済安保法が成立 半導体など重要物資の供給網強化など4本柱

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経済安全保障推進法が賛成多数で可決、成立した参院本会議=国会内で2022年5月11日午後0時47分、竹内幹撮影 拡大
経済安全保障推進法が賛成多数で可決、成立した参院本会議=国会内で2022年5月11日午後0時47分、竹内幹撮影

 国家安全保障のために政府が企業活動を規制する経済安全保障推進法が11日、参院本会議で採決され、自民、公明両党と立憲民主など一部野党の賛成多数で可決、成立した。欧米諸国と協調し、国際秩序を揺るがす中国などへの経済的な依存度を低下させる狙いがある。

 重要物資のサプライチェーン(供給網)強化▽基幹インフラの安全確保▽先端技術開発での官民協力▽軍事技術に関わる特許の非公開――の4本柱で構成。来春から段階的に施行する。

 戦略物資の調達を海外に依存するリスクを減らすため、半導体や医薬品などを重要性の高い「特定重要物資」に指定し、企業の調達計画を政府が認定するほか、安定調達に向けた財政支援を実施する。

 さらに、電気、ガス、通信、金融など14業種を対象に、重要な機器の調達先や保守管理の委託先について国への事前報告も義務づける。基幹インフラなど経済や国民生活に密接に関わる分野に、安全保障上のリスクのある外国製品が入り込む事態を防ぐ狙いだ。

 官民協力では、人工知能(AI)など今後の産業の競争力を左右する重要な研究分野ごとに産学官の協議会を設立。5000億円規模の政府の経済安保基金を創設して民間の研究開発を支援し、日本の技術力を高める方針だ。

 核や武器開発につながる技術の特許情報を非公開にする特例制度も設ける。非公開の特許情報を漏えいするなどした場合は2年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金を科す。

 岸田文雄政権は年末に改定する外交・安保政策の長期指針「国家安全保障戦略」に経済安保を盛り込む方針だ。ただ、法律の運用を巡っては不明確な点が多い。具体的な規制対象となる特定重要物資は法律に明記されておらず、国会審議が不要な政省令で定める方針だ。指定によっては企業活動が大きく制限されるため、経済界は懸念を強めている。規制の範囲を巡って官民が折り合えるかが今後の焦点になりそうだ。【横山三加子、平塚裕介】

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