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天の川銀河の中心にある巨大ブラックホールの影を撮影したと、日米欧などの国際研究チームが12日発表した。チームは2019年4月に、別の銀河でブラックホールの影を撮影することに初めて成功している。これを解説した毎日新聞の連載「科学の森」の19年6月の記事を再掲する。(年齢、肩書は当時のもの)
日米欧などの国際研究チームが4月、ブラックホールの影を撮影することに初めて成功したと発表した。人類が初めて目にした、光をも吸い込む宇宙の「黒い穴」はどんな天体なのか。研究の歴史とともに、今後の研究の展望に迫った。【斎藤有香、須田桃子】
光も脱出できない
ブラックホール研究の始まりは18世紀にさかのぼる。英国の物理学者ジョン・ミッチェルが1784年、非常に重くて光が出てこられない「暗い星」の可能性を考察した論文を発表したのが最初だ。
本格的な研究のスタートはそれから約130年後、重力による時空のゆがみ(重力場)を記述するアインシュタインの一般相対性理論が発表された直後の1916年だった。ドイツの物理学者カール・シュバルツシルトが、質量を持った点の周りに生じる重力場の方程式を厳密に解き、中心点に近付くほど時空のゆがみが大きくなり、ある半径より内側(ブラックホール)からは光も脱出できなくなることを明らかにしたのだ。
半径の大きさは中心の質量に比例し、例えば太陽の質量なら約3キロ、地球の質量ならビー玉程度になる。その内側からは情報が一切出てこず、外側との因果関係が全くなくなるため、内側との境界は「事象の地平面」と呼ばれる。
20世紀初頭には大型の光学望遠鏡によって、銀河の中心部でひときわ明るく輝く天体(活動銀河核)や、中心部からガスが噴出する「ジェット」が初めて観測された。さらに電波望遠鏡が登場すると、宇宙の…
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