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知っ得!?マイクロアグレッション

あからさまな差別ではないようで、実はマイノリティーに対して攻撃的な「マイクロアグレッション」。あなたは知っていますか?

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知っ得!?マイクロアグレッション

無自覚ですいすい歩ける 自動ドアに似るマジョリティーの「特権」

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出口真紀子さんの授業風景。大学生たちが紙ボールを一斉に投げているところ=出口さん提供
出口真紀子さんの授業風景。大学生たちが紙ボールを一斉に投げているところ=出口さん提供

 日常的に繰り返される「マイクロアグレッション」は、あからさまな差別以上にマイノリティーの人々の心身を傷つける場合がある、と言われる。しかし、それをマジョリティー側が気づき、理解するのは難しい。それは自分たちの持つ「特権」を自覚できないからだという。連載2回目は、上智大教授(社会心理学)の出口真紀子さんが「マジョリティーの特権を自覚する」ことをテーマに続けているユニークな大学講義の内容を紹介する。【オピニオングループ/小国綾子】

「これって差別?」

 ――マイクロアグレッションは、自分もマジョリティーとしてやっているかも……と気づこうとすることが、第一歩なんですね。

 ◆マイクロアグレッションは、言葉だけではありません。例えば、さすがに最近はないかもしれませんが、職場に女性の水着姿のポスターを張る、などもそうです。

 また、女性が就職面接で通された部屋に、その会社の歴代社長の写真が並んでいたとする。それが全員男性だったりして、面接官もトップの人はみな男性だとしたら、そうした環境の中にも隠された攻撃性は感じられます。

 企業側は自社の歴史を誇る意味で飾っていたとしても、面接を受ける女性にとっては「ここは男性が昇進に有利な企業である」「女性はなかなか昇進しない」「女性は肩身の狭い思いをしてしまうのでは」などのメッセージとなるからです。だから、そういう部屋でわざわざ面接はしないとか、そこまで意識しないと、マイノリティー(この場合は性自認が女性)が攻撃性を受け取ってしまいます。

 あからさまな差別ではない分、「これって差別?」「私の気にしすぎ?」と受けた本人がすっきりしない気持ちを抱え込む結果となる。これが日常的に繰り返されると、知らぬうちに疲弊します。

 ――なるほど。米国のレストランで私だけ注文を取りに来てもらえなかったことがあって、「これってアジア人差別? それとも単に忙しいの?」と頭の中でぐるぐる思い悩んだことを思い出しました。

 ◆ええ。アフリカから留学してきた学生が、日本の満員電車で誰も隣に座ってくれない、と言うのです。いつも自分の座席の横は空いている。こうした行為は、その留学生からすると「自分の肌の色が原因で忌避されている」と感じるわけで、当然ながら傷つきます。「朝電車で通学しなければならない日は憂鬱になる」と言っていて、そのように「また今日も同じことが起きるかもしれない」と感じると、外出することもおっくうになるなど、行動にも影響を及ぼします。

なぜ精神的な負担となるか

 ――マイクロアグレッションが精神的に負担を強いる理由はほかにもありますか。

 ◆マイクロアグレッションを受けたときは、…

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