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知床観光船事故

2022年4月23日、知床半島沖で観光船が沈没。乗客乗員計26人のうち14人が死亡、12人が行方不明に。

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知床観光船事故 二転三転する社長の説明 乗客家族「信用できぬ」

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記者会見で記者からの質問に、記憶をたどりながら答える知床遊覧船の桂田精一社長=北海道斜里町で2022年4月27日午後6時59分、貝塚太一撮影 拡大
記者会見で記者からの質問に、記憶をたどりながら答える知床遊覧船の桂田精一社長=北海道斜里町で2022年4月27日午後6時59分、貝塚太一撮影

 北海道・知床半島沖で乗客乗員計26人が乗る観光船「KAZU Ⅰ(カズワン)」が沈没した事故で、船を運航する「知床遊覧船」(北海道斜里町)の桂田精一社長の説明や発言が二転三転している。記者会見で運航管理者は船長と答えながら、後になって撤回するなど、対応が混乱。乗客の家族から「信用できない」との声が出ている。

 桂田社長は4月27日の会見で、運航管理者について問われ、沈没事故後に行方不明になっている豊田徳幸船長の名前を挙げた。ところが家族への説明で自らの発言を翻す。

 会見後に開かれた家族説明会で、桂田社長は「説明内容の訂正とおわびについて」と題する文書を配り、「北海道運輸局に提出済みの届け出内容を確認したところ、運航管理者として私が登録されている」「運航などは社員に任せている部分が多く、自覚が足りませんでした」と謝罪した。この点について国土交通省に確認すると、知床遊覧船が国に届け出た「安全管理規定」の運航管理者の欄に豊田船長の名前はなかった。

 一方、4月23日の事故当時、運航管理者の桂田社長は事務所にいなかった。海上運送法は、船の航行中に運航管理者が事務所を離れる場合は安全管理のため運航管理補助者を置く必要があるとしている。この補助者についても、桂田社長の説明は揺れている。

 桂田社長は会見で、ある従業員が補助者を務めていると述べながら、その後の家族宛ての文書には別の従業員2人の名前を記していた。文書では「事故当日の勤務体制は、営業所内に運航管理補助者として登録している社員がいなかった」と記載しており、一時的に補助者の従業員が不在だったようにも解釈できる曖昧な表現となっていた。この点も確認すると、さらなる食い違いが判明する。そもそも知床遊覧船が国に提出した安全管理規定には、運航管理補助者の名前は記されていなかった。

 ほかにも問題がある。知床遊覧船の安全管理規定によると、船長は運航管理者(桂田社長)にルート上の定点を通過した時間を報告すると定めている。家族宛ての文書では「報告内容は毎回、記録も残している」とし、2021年6月中の3回分の「無線記録」を添付。そこには出港・帰港時間、コース中の11地点の通過時間が全て記載されていた。ところが毎日新聞が入手した21年10月の計14回分の無線記録をみると、複数の運航で空欄が目立ち、船との連絡や記録を日常的に怠っていた可能性がある。

 船との無線通信を巡っては、桂田社長は会見で「事故当日に事務所の無線アンテナが故障していることがわかった。すぐに修理を依頼した」「携帯電話やほかの運航会社の無線でやりとりが可能」などと述べているが、知床遊覧船が日々の業務の中で電波法が緊急時以外の使用を禁じているアマチュア無線を使っていた疑いも浮上している。【福島祥、遠藤龍、木下翔太郎】

【知床観光船事故】

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