AV対策法「性行為に金銭支払うことを合法化」 支援団体の懸念

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3月に開かれた緊急院内集会で、支援団体や弁護士と共に登壇し、AV出演強要の被害経験を与野党議員に向けて語る女性(前方中央)=東京都千代田区の衆院会館で2022年3月23日、宇多川はるか撮影
3月に開かれた緊急院内集会で、支援団体や弁護士と共に登壇し、AV出演強要の被害経験を与野党議員に向けて語る女性(前方中央)=東京都千代田区の衆院会館で2022年3月23日、宇多川はるか撮影

 アダルトビデオ(AV)への出演被害を防止するため、与野党6党は、撮影から一定期間は無条件に契約を解除できるなどとする新法案の協議を急ピッチで進めている。今国会中の成立に向けて合意を目指す一方で、性暴力や性的搾取の被害者支援に取り組んできた団体からは、法律の条項案に反対する声が強まっている。「性行為に金銭が支払われる行為が合法化されてしまう」。支援団体が指摘する問題点とは何か――。【宇多川はるか】

「性交」明文化がもたらすものは

 AVを巡っては明文化した法律は存在しない。いわばグレーゾーンの中で撮影・販売が続いてきた。新法が成立すれば、AVについて初めて言及した法律が整備されることになる。

 与野党が検討を進める法案は、▽出演契約を交わしてから20日間が経過しなければ撮影はできない▽無条件に契約解除できる期間は公表から1年間――など被害防止を目的に、制作業者への規則を強化する内容だ。ただ、言い換えれば規則を守ればAVを事実上合法化するとも捉えられ、それだけに、性搾取に苦しむ人たちを支えてきた支援団体の危機感は大きい。

 まず危惧しているのは、…

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