政府肝いりのデジタル化、早くも「黄信号」

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デジタル庁発足式で平井卓也デジタル相(当時、画面左)と記念写真に納まる菅義偉首相(当時)=首相官邸で2021年9月1日午後4時4分、竹内幹撮影
デジタル庁発足式で平井卓也デジタル相(当時、画面左)と記念写真に納まる菅義偉首相(当時)=首相官邸で2021年9月1日午後4時4分、竹内幹撮影

 菅義偉前政権の肝いりで、デジタル改革関連法が2021年5月に成立してから1年。首相をトップに据えたデジタル庁が発足したが、目玉事業の一つとされる地方自治体の基幹業務に関わるシステム統一化は早くも黄信号がともる。住民基本台帳など地方ごとにバラバラのシステムを25年度末までに標準化する目標だが、政府内からは「期限内は厳しい」との声も漏れる。地方ではまったく着手していない自治体もあり、そもそも「DX(デジタルトランスフォーメーション)って何?」という実態も。さらに、根本的な問題も浮かび上がる……。【後藤豪】

全国自治体1700以上、進捗に格差

 「思い切ってデジタル化を進めなければ日本を変えることはできない」。21年5月11日、菅首相(当時)は参院内閣委員会でデジタル改革関連法案の意義をこう強調し、同法は翌12日に参院本会議で可決、成立した。

 これにより、同年9月1日に発足したのがデジタル庁だ。国の情報システムに関する予算を一括計上して統括・管理する内閣直轄組織で、行政のデジタル化推進における「司令塔」を担う。スタッフは民間のIT人材も含め約700人(22年4月1日時点)。他省庁への勧告権など強力な権限を有し、マイナンバーカードの普及や押印の廃止といった行政手続きのオンライン化などデジタル改革の加速が期待されている。

 だが、システム標準化を巡り、全国1700を超える自治体の足並みをそろえるのは容易ではない。人口数百万人を抱える大都市もあれば、高齢化や過疎化が進む山間部の小規模自治体もある。これらを同時に同基準のシステムに切り替えようというのだから、自治体間で進捗(しんちょく)に差が出るのも無理もない。

 鹿児島県内のある自治体の職員は取材に対し「システム担当者は自分1人の状態ですよ」と人材不足に不満をにじませる。IT業界では常識とされる「DX」などの横文字が他の職員に理解されないこともよくあると嘆き、「国はデジタル化の機運を高めろと言いますが、このような地方の役所で周知するのは容易じゃないですよ」と漏らす。

 千葉県内の自治…

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