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新型コロナウイルスによる自粛生活が続く影響で、日本酒の消費が落ち込んでいる。苦しい状況を打開しようと、江戸時代創業の老舗酒造会社が海外の販路に活路を見いだそうとしている。ただ、単に輸出するだけでは同業他社と差別化できない。そこで目を付けたのが、国際的に通用する食品安全規格の取得だ。世界に通じる日本酒を目指す取り組みの現場に迫った。
その酒造会社の酒蔵は、福岡県八女(やめ)市にある。瓦屋根に白壁の蔵の出入り口には、シートシャッターが設置されている。従業員は手を洗い、ローラーで作業着に付いたほこりを落とし、室内履きに履き替えてから中に入っていく。食中毒を引き起こすセレウス菌などの侵入を防ぐためだ。
「日本酒造りではこうじ菌などを使うので、他の菌が入らないよう厳しく管理しなければなりません」。酒造会社「高橋商店」で食品安全を担当する鈴木啓さん(44)はそう説明した。
高橋商店は江戸時代の1717(享保2)年創業で「繁桝(しげます)」などの銘柄で知られる。繁桝は、福岡県産の山田錦など高品質な酒米を時間をかけて精米し、八女市を流れる矢部川の伏流水を使って伝統的な方法で手作りされる。辛口で、主に地元の酒屋で販売されている。
ところが、…
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