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プロ野球DeNA藤田 10年ぶり復帰をかなえた「人間力」

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10年ぶりの復帰となったDeNAの入団記者会見に臨む藤田一也内野手=横浜市内の球団事務所で2021年12月10日、代表撮影
10年ぶりの復帰となったDeNAの入団記者会見に臨む藤田一也内野手=横浜市内の球団事務所で2021年12月10日、代表撮影

 10年ぶりの光景だった。4月15日、横浜スタジアム。横浜DeNAベイスターズのチーム最年長、藤田一也内野手(39)が、古巣復帰後初となる安打を左翼前に放った。キャンプ中のけがから復帰し、1軍に昇格して2試合目。雄たけびを上げながら一塁を駆け抜けると、年輪を重ねた柔和な笑顔がはじけた。

 「こうやってもう一回、横浜のユニホームを着させてもらえるようになり、感謝しかない。かなえられなかった夢、横浜での優勝をかなえたい」。昨年12月、横浜市内で開かれた入団記者会見で、藤田は一度はふたをしていた熱い思いを口にした。

 ベイスターズとの縁は近大時代にさかのぼる。「スカウトさんが熱心に練習や試合を見に来てくれていて愛情を感じていた。こういうスカウトさん、裏方さんのいるチームで野球をしたいと思った」。ドラフト会議で横浜以外からの指名があれば社会人に進もうと考えるほど、愛着を感じていた。

 ドラフト4位指名で2005年に横浜に入団。徐々に力を蓄えて09、10年には100試合以上に出場した。だが、球団運営がDeNAに変わった12年、突然「別れ」がやってきた。6月24日に内村賢介内野手との交換トレードで新天地の楽天へ。すでに29歳。「2年が勝負」と腹をくくった。

 楽天の星野仙一監督(当時)に守備力としぶとい打撃を高く評価されていた藤田は、移籍発表から2日後、先発起用でグラウンドに立っていた。13年には128試合に出場し、楽天の初の日本一に大きく貢献。二塁手として3度のゴールデングラブ賞に選ばれるなど、この10年で藤田は「楽天の顔」になった。

 しかし、変わりゆくチームの中で、出番は少しずつ減っていく。昨季は出場なし。オフには、球団から選手以外のポストを打診された。功労者としての評価でもあり、残された可能性が少ないことは分かっていた。それでも「納得がいくまで現役でいたい」と挑戦を続けることを決めた。身の置き所が決まらない中で黙々と練習を続ける姿に、真っ先に声をかけてくれたのはDeNAだった。

愛される人間性

 ベテランがもう一度チャンスをつかんだ背景には、野球の技術はもちろん、その「人間性」もあった。DeNAの三原一晃球団代表は「OBでもあるし、うちの球…

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