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「どういう人も“普通”なんだっていうのを描きたかった」。現代を生きる若者たちの繊細で複雑な心の揺れをすくい上げる作家、大前粟生(あお)さん(29)の新刊『きみだからさびしい』(文芸春秋)は長編恋愛小説。登場するのは、ポリアモリー(複数恋愛)や同性愛など異なる指向や考えを持つ人たちだ。各自に潜むジェンダーバイアスや好意の暴走といった危うさにも触れながら、「みんながしているけど、実は誰にもよく分かっていない」恋愛というものの多様な形を描き出す。
舞台は京都。ホテルで働く24歳の町枝圭吾は、あまり自分に興味が持てない。相手を傷つけることを恐れ、恋愛にも臆病だ。そんな圭吾が、恋に落ちた。4歳上の窪塚あやめ。彼女は、同意の上で複数の人と恋愛関係を結ぶ「ポリアモリー」だった。付き合うことになった2人は相手を思うが故に悩み、嫉妬し、苦しむ。同性の圭吾に片思いする同僚や、男性同士の恋愛「ボーイズラブ(BL)」漫画の作者だった先輩も登場する。
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