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村上陽一郎・評 『英語の階級 執事は「上流の英語」を話すのか?』=新井潤美・著

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 (講談社選書メチエ・1705円)

英社会の内実反映「抜群に面白く」

 こうした文章を私事から始めるのは慎みのない行いであることは重々承知をしているつもりだが、最近の拙著(『エリートと教養』中公新書ラクレ)のなかで、私は、イギリス社会の言語的な分断に触れた。文字通り「触れる」程度だったが。今この本を手にして、むしろ後悔した。一言、この本を読め、と書けばよかった。しかも、この本はしかつめらしい学術書ではない。そう、ここでは、絶対に自分では使わない形容句を敢(あ)えて自分に許して、こう書こう。「この本、メッチャ面白い!」

 どのページを開いても、興味尽きない。『ピグマリオン』(当然本書の主役の一つであるが)を書いたB・ショーが、もともと皮肉や揶揄(やゆ)を前提にしているし、イギリス語の階級依存という現象自体が、ある種の苦いユーモアを含んでいるのだから、読んでいて、面白くないはずはないが、学問的裏付けは十分にある著者が、イギリスを含む長い海外経験に基づく事象の描写・記述が、細部に至ったときの面白さは抜群である。一例を…

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