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永江朗・評 『パンとサーカス』=島田雅彦・著

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 (講談社・2750円)

現実社会の異様さが気になる

 拝啓 島田雅彦様。このたびは紫綬褒章の受章、おめでとうございます。びっくりしました。ちょうど『パンとサーカス』を読み終えたところでしたので、冗談かと思いました。なにしろ全557ページものこの長編には、戦後の日本政治に対する批判や最近の政権への当てこすりがたっぷり入っていますから。政府にもこの小説のファンがいるのでしょう。主人公のひとり、御影(みかげ)寵児(ちょうじ)のような役人が。作品が新聞に連載されていた2020年夏から21年夏まで、ぼくも毎日楽しみました。加筆、修正された単行本で再読すると、さらに面白さが増していると感じます。

 高校生のときにふたりだけの秘密結社を作った寵児と火箱空也が、大人になって世直しをしようとする痛快な小説です。秘密結社の名前はラテン語で「世界の敵」を意味する「コントラ・ムンディ」。

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